フランスのワイン産地といえば、ボルドーやブルゴーニュ、シャンパーニュが真っ先に思い浮かぶかもしれません。しかし、アルプス山脈のふもとに広がるサヴォワ地方(Savoie)のワインは、知る人ぞ知る隠れた名産品。標高の高い冷涼な気候がもたらすミネラル感とフレッシュな酸味が特徴で、チーズ料理との相性も抜群です。
今回は、この美しい山岳地帯で生まれるワインの魅力に迫り、主要品種やおすすめ銘柄、楽しみ方をご紹介します。
サヴォワ地方のワインとは?
サヴォワ地方は、スイスとイタリアに接するフランス東部に位置し、シャモニーやアヌシーといった観光地で知られています。ワイン生産量はフランス全体のわずか0.5%以下と希少で、ほとんどが地元で消費されるため、国外ではなかなかお目にかかれません。しかし、そのユニークな個性と食事との親和性の高さから、ワイン愛好家の間でじわじわと注目を集めています。
サヴォワの主なブドウ品種
白ワイン(全生産量の約70%)
🔸 ジャケール(Jacquère)
サヴォワを代表する白ブドウ品種。軽やかでフローラルな香りとシャープな酸が特徴で、ミネラル感たっぷりの爽やかな味わい。ラクレットやタルティフレットといったチーズ料理と抜群の相性を誇ります。
🔸 ルーサンヌ(Roussanne)
ローヌ地方でも使用される品種。ジャケールよりもコクがあり、蜂蜜やアーモンドのようなニュアンスが感じられます。
🔸 アルテス(Altesse)
別名「ルセット(Roussette)」。エレガントで果実味豊か、熟成するとナッツやスパイスの複雑な香りが楽しめます。
赤ワイン(全生産量の約20%)
🔹 モンデューズ(Mondeuse)
サヴォワで最も栽培されている赤ワイン用の品種。スパイシーな風味としっかりしたタンニンがあり、カシスやブラックベリーのような果実味が特徴。熟成するとよりエレガントに。
🔹 ピノ・ノワール(Pinot Noir)
ブルゴーニュのピノ・ノワールに比べて、軽やかでフレッシュなスタイルが多い。
🔹 ガメイ(Gamay)
ボジョレー地方でも有名な品種。フルーティーで親しみやすく、サヴォワのガメイは特に果実のピュアな魅力を楽しめます。
サヴォワワインのおすすめAOC
サヴォワ地方には、個性豊かなAOC(原産地呼称)があります。
🍷 AOC Vin de Savoie(ヴァン・ド・サヴォワ)
サヴォワ地方全体をカバーするAOC。ジャケールを中心としたフレッシュな白ワインが人気。
🍷 AOC Roussette de Savoie(ルセット・ド・サヴォワ)
アルテス(ルセット)を使った白ワイン専用AOC。よりリッチで複雑な味わい。
🍷 AOC Seyssel(セイセル)
サヴォワ地方で唯一、スパークリングワインも含むAOC。シャルマ方式で造られる爽やかな泡が魅力。
サヴォワワインと料理のペアリング
サヴォワ地方といえば、チーズが有名!ワインと絶妙なマリアージュを楽しめます。
🧀 ラクレット × ジャケール
とろけるチーズの濃厚さを、ジャケールの爽やかな酸味が見事にリセット。
🧀 タルティフレット × ルーサンヌ
クリーミーなグラタン風料理には、コクのあるルーサンヌがぴったり。
🥩 シャルキュトリー(ハム・ソーセージ) × モンデューズ
スパイシーな赤ワインが、塩気のある肉料理と好相性。
🐟 川魚のグリル × アルテス
フレッシュな酸味と果実味が、繊細な魚料理を引き立てる。
サヴォワワインのおすすめ銘柄
🏅 Domaine Jean Perrier & Fils “Apremont”(ドメーヌ・ジャン・ペリエ・エ・フィス “アプルモン”)
ジャケール100%の爽快な白ワイン。ミネラルたっぷりでチーズとの相性抜群。
🏅 Domaine Dupasquier Roussette de Savoie(ドメーヌ・デュパスキエ ルセット・ド・サヴォワ)
アルテスの魅力を存分に楽しめる、リッチな白ワイン。
🏅 Domaine Louis Magnin Mondeuse(ドメーヌ・ルイ・マニャン モンデューズ)
スパイシーで力強い赤ワイン。熟成するとより複雑な味わいに。
まとめ|サヴォワワインはアルプスの隠れた宝石!
サヴォワワインは、フレッシュな酸味とミネラル感が特徴で、特にチーズ料理との相性が抜群。生産量が少なく、フランス国内でも限られた場所でしか手に入らないため、見つけたらぜひ試してみてください。爽やかな味わいと山の空気を感じる一杯で、サヴォワの魅力を堪能してみませんか?
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